| 「ROCK&SNOW 035」誌(山と渓谷社刊)への意見文及び皆様へのお願い |
今回、「ROCK&SNOW 035」に掲載された「沖縄ロック」(126ページ)の記事に関して問題のある部分が見受けられますので意見およびお願い申し上げます。
「沖縄のルートエリア」と紹介されているページ(128ページ)。
轟の滝エリア
轟の滝は県内でも著名な場所ではないにしろ景勝地として紹介されている場所です。80年代、沖縄山岳会によって手がつけられているように書かれていますが、実際のところは、ここに名前が出ている在沖米国人によって本格的に開拓されたのが実情です。ここのエリアに関しては、私は以前から別の山岳会のメンバーの方より、地元とちょっとしたトラブルがあったことを聞いていたので、岩の存在があったことは知っていましたが、活動はしておりませんでした。この、在沖米国人(正確には在沖米国人グループ)が数年前、開拓をし始めたときにも私は彼らにその話をしておいたのですが、結果的に無視された形になりました。そして、ちょうど一年前、彼らがクライミングしている際に、地元の人と思われる方々やってきてクライミングをしないようにと注意を受けたと聞きいております。にもかかわらず、現在もエリアの利用を続けています。それを聞いた昨年私のほうも、問題が大きくなる前にこの地でのクライミング活動を自粛すべきだと思い、私のジムを利用してくれているクライマー達を中心にその事を呼びかけました。むやみにHPや掲示板などに書き込むのはこのエリアの存在をあからさまにし、逆に登りにくる人達が出てくるのを恐れてあえて行いませんでした。
この記事を書いた人物にも当然呼びかけました。しかし、残念なことにその人物とこの記事に関係している人物は、その岩場を利用し、また開拓にも関与していると聞いています。このような形で場所を公に発表までしてしまいました。
とりあえず、地元は実際のところどう思っているのか確認したく、先日、轟の滝のある数久田区に伺い区長さんに轟の滝で行われているクライミングのことを尋ねたところ、ご立腹の様子でした。私が聞いたのは一度だけでしたが、彼らを見かけたときはその都度注意するようにしているとのことでした。この轟の滝は沖縄県指定の文化財に選ばれていて、管理は名護市の教育委員会がしており、区のほうからそちらにも苦情を前々から伝えてもあるそうです。近々、禁止の看板を立てるような話もしておりました(これは事情がわからないクライマーが登る可能性もあるのでトラブルを防ぐため私も勧めました)。
発表する以前の問題です。登りたいならまず、話し合いを地元と持つべきではなかったでしょうか?
阿波 美ら作(正確には 安波 美作)エリア
このエリアに関しては、基本的に一部ルートができているのですが、開拓途中のエリアです。問題なことは車を止める駐車場が基本的に私有地です。釣りに来る人達もいて他にも車を止めているので当初私もわかりませんでした。しかしあるとき私が車を止めた際、地主さんから声をかけられはじめて知りました。そのときは一応許可していただきましたが、次回からは止める場所は違う所にしてほしいと言われました。あくまでも今はその地主さんが大目に見てくれて黙認状態なのですが、これも問題になる可能性が出てきます。こういったことにも配慮せず発表することに非常に問題を感じます。
糸満摩文仁南岸
摩文仁は国立公園でもあり平和祈念公園が存在し、沖縄戦が終結した場の一つとして聖地、聖域として地元はのみならず県外にも知られている場所の一つです。
そして、この発表されている岩場を含めた近辺でも、戦争のため追い込まれた人々が崖から飛び降りたり、自決が行われたりと現在では想像を絶する悲惨なことが繰り広げられた場所です。このエリアにアクセスするにも、その戦争での遺族の人達が建てた慰霊の塔が立ち並んでいます。
こういった場所をこういった形で開拓し、発表するのは、沖縄の人達の感情を全く持って理解できていない行動だと言わざるを得ません。
私自身、クライミングが不謹慎な遊びだとは思っていません。お叱りをうけるかもしれませんが、こういった場所でクライミングのような平和があってこそ楽しめる遊びが行われることこそ理想だと思っています。しかしそれを行うに関してまた、時間も浅いと感じますし、それを「そうだ」と簡単にわかっていただけるほど、クライミングが理解されている訳でもないですし、そしてまた、地域周辺を含めた県民の人達の感情も単純ではないと思います。要はエリアとして開拓してゆくのであれば、ある意味どこの場所よりもしっかりと時間をかけ、地域や周辺の理解をとりつけてゆかねばならない場所です。
このエリアを今回、「ROCK&SNOW」に記事を投稿した関係者に話したのは私です。そして、彼らがボルトを打って開拓した話を聞いた際に非常に驚き、注意したのですが、その一人からはこの場所を教えた私の責任を強くなじられました。私も、クライマーである以上、あの魅力的な岩にラインを引くことは気持ちとして非常に強く持っているのが本音です。自分がボルトを打って開拓したのにそれを他人のせいにするのは、少し疑問を感じるのですが、そんな私の言動が原因で彼らがこういった行動をしたのであれば、私自身軽率であったと認めるし、また、反省しております。
しかし、私自身ルート開拓はできませんでしたし、また、そういった歴史的経緯を知っているならば、安易にそういった行動が行われるべきではありません。当たり前ですがこの地を訪れる方々のほとんどが、なんらクライミングと関係ない慰霊を心にしている人たちですし、この地のことを特別な感情を持っている県民の方が多数いらっしゃいます。公開のみならず開拓も控えるべきです。
この記事を書いた本人から沖縄の特集を発表する連絡があった際も、上記の三つのエリアのことは紹介しないことを言っていました。しかし実際のところ掲載されていて驚き、いまだに疑問です。こういった事情を知らずに、上記のエリアを利用したクライマーがトラブルに巻き込まれ、また、この沖縄においてもまだまだ認知の低いクライミングやクライマーのモラルが世間から問われ、正しく行動しているクライマー達に迷惑が飛び火することが危惧されます。
上記問題があるエリアを利用することはご遠慮頂きますようお願い申し上げます。また、お手数をおかけして誠に申し訳ありませんが、周辺のお仲間のクライマー諸氏に呼びかけていただきますようお願い申し上げます。
この度は、このような形になってしまったことの要因の一つに、私が軽率に問題あるエリアを漏らしたことや、軽はずみな言動が原因の一つとも感じ、深く反省しております。また、皆様をはじめお手数をおかけし、周辺にご迷惑とご心配をおかけした事を心より謝罪申し上げます。
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フリークライマーズ沖縄 加藤 道浩 |